スイスフラン暴騰でAlpariUKが破綻声明を出しましたが、その2日前の公開動画での担当者スピーチが鬼気迫っていたので和訳付きでシェアします。動画もいつまで残るかわからないので、早めに見ていただいたほうが良いと思います。

以下和訳は私が勝手に訳したものなので細かい間違いはご容赦ください。

現時点ではおそらく皆さんがご存知のように、本日の市場は相当に荒れたものでした。

一日の始まりは他の日と同じように経済指標や、「原油の価格は金融市場を動かし」といったニュースで始まりました。

その後スイス中銀代表が、対ユーロの上限規制1.20を撤廃すると発表し、その影響で市場センチメントが大きく動き、パリティー(1.0)レベルを下回り、0.9も切り流動性は干上がるという、ほとんど見ることのないようなマーケットになりました。

それもこれもスイス中銀の発表によるものなのですが、ここで問題になっているのは、いままでの中銀機関は市場に対してメッセージを少しずつ伝えることをしてきたということです。

何か大きな金融政策の変更を行うときには、事前にマーケットをコントロールできるようにしてきたわけです。例えば米国のFRBが量的緩和政策をする時もそうですし、緩和政策を縮小するときや金利の上昇なども、常に何かのサインを出してきました。

それが全く無かったというのが本日のサプライズだったわけです。

実際スイス中銀は全く無責任で、こんなとんでもない発表を何の前触れもなくマーケットに落としたのです。

そもそも数日前にスイス中銀は、ユーロの上限規制を守っていくことはスイス金融政策の土台だと説明をしていたばかりであり、スイス中銀はこれらの疑問に答える必要があると思います。

それにしても、スイス中銀の決定は何を意味するのか?なぜスイスフラン暴騰を抑えるための政策金利下げという全く理にかなったことをする傍らで、なぜ今になってユーロ上限規制をやめると決めたのか?

もうこの時点では推測することしか出来ませんが、スイス中銀代表が記者会見に臨んだ時には「経済は安定してきている」といったコメントしかしておらず、後に記者が中央銀行の人達とこの件について話をしたかと聞くとノーコメントでした。

マーケットの中で最も力を持っている噂は、今から6日先に開かれるECB会議で大型の量的緩和が発表をされることがスイス中銀に知らされたからだというものです。そして噂ではユーロの量的緩和の規模が大きく、とてもスイス中銀が買い支えきれる規模ではないと判断したために緊急措置として上限規制の撤廃を発表したのではないかと言われています。

ただ、仮にそうだとしてもやはりスイス中銀のアクションには大量の疑問符が残ります。

なぜ1.20の支えを下げることをしなかったのか?なぜもう少し段階的にやらずに一気にやったのか?なぜECBはそれだけの大型金融政策の実施をスイス中銀に伝えるのに、会議前6日しか時間を与えなかったのか?そのために市場に深い影響を与えたのです。

もちろんこの影響はEURCHFのペアだけに影響はとどまりません。そこは完全に明確にしておきます。もちろんEURCHFは狂ったように暴落(フランは暴騰)しましたが、それだけではなく全てに影響を与えています。

ユーロドルは一方的に米ドルに対して売られ、ドルフランも米ドル買いで進み、株式や商品相場にも、つまり金融市場全部に巨大な影響を与えています。

このため市場の共通認識は、スイス中銀がどうしようもなく無責任であるということだと思います。それと、これも人々も推測ですがECBに対しても無責任さを攻める気持ちが強いと思います。スイス中銀に1.20ラインを崩す決定を出させるようなコメントを会議6日前に出すということは、そのECB会議で発表されるものもまたマーケットに多大なインパクトを与えるものだったと想像されますし、いずれにしてもECBとスイス中銀、2つの中央銀行は大きな疑問を残します。

単純な問題点は、これだけ大きなボラティリティの嵐が2行によってい引き起こされたということです。国家の中央銀行が金融市場にこれだけ大きな嵐を落とすようなことは、2008年の金融危機以来、米国FRB、英国銀行、ECBも含めて今まで可能な限り避けてきた問題です。

ところが、今日の今朝になって、ECBは潜在的に、スイス中銀は間違いなく、金融市場を安定させてきたこれまでの取り組みを完璧に無視して、今日の金融市場を大きな混乱の渦に投げ込んだのです。

もちろん、この混乱はいずれ収まるでしょうが、いずれスイス中銀には答えてもらわないと納得のできないことが沢山あります。

AlpariのFX業界での存在感は間違いなく大きく、私にとっては2012年にGFTが破綻した時以来のインパクトでした。

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この影響で不便を強いられている方も沢山いらっしゃると思います。

早く市場が通常に戻ることを願うばかりです。


TORU_COCOSTA
TORU_COCOSTA

40代からの自由な時間と収益を作るトレード教育を行っています。ビットコイン / ゴールド / 外国為替 の取引方法が学べる「ココスタ」運営(受講生4,800名)。現役トレーダー / 米CMT検定1級保有 / ビットコイン研究所ライター / 株式会社ファム代表取締役。受講に関するご質問など、気軽にお問い合わせください。

    4 replies to "Alpari破綻…鬼気迫るスピーチ(和訳つき)"

    • じゅん

      私はEUR/CHFを買っていて、損をした口でした。15日の夜のメールでストップに引っかかり約定したというメールが届いたので、とうとう1.20を切ったのかと思いました。1.20の下の1.197にストップをおいていて、それほどスリップすることなく損切りできたのが幸いでした。その時はスイス中銀の発表を知らなかったのですが、チャート見ると0.9を切っているような状態が瞬間的にはあったようで、後になってその怖さにぞっとしました。1.1965で決済されたのは不幸中の幸いでした。

      1.20は切るかも知れないと思い、1.197にストップをおいていて今回は運良く許容できる範囲で損切りできたから良いものの、1.0あたりで決済されていたらと思うと、後から怖さで身震いする思いです。市場というのは、時には予想をはるかに超えた動きをするものだというのをまざまざと見せつけれられました。

      • SasakiToru

        じゅんさん

        1.20真下にストップを置いていたのは、きっと普段からストップをちゃんと入れる習慣を持たれていたからこそでしょう。スイス中銀じゃなくても犬がコンピューターの電源をかじって端末にアクセスできなくなって大損したというような、ネタか本当か分からないけど否定もできないような話も聞きます。

        もちろんエントリーの時点でストップとターゲットがないと報酬比率が出せず意思決定できないという大前提はあるものの、最低限でも機械的にストップは入れておかないとコントロールを手放すことになってしまいますね。

        コメントありがとうございました。

    • アトム

      今回の件でストップはsometimes でなくalways、
      いつも必ず置かないといけないと実感しました。

      • SasakiToru

        アトムさん、その通りですね。最低限の自己防衛方法について他の記事でも書いていますので、ご覧になってみてください。

        ▼ 想定外…資金を無くさないための対応策とは?
        http://www.fxkawasechart.com/2015/limiting-losses

        コメントありがとうございました。

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