東京大学を会場に開催された暗号通貨イベント「HashHub Conference2018」は、定員400名のホールが満席、立ち見も。そんな静かに湧き上がる熱気の中で、登壇させていただく機会を得ました。

技術、税法、法規制、セキュリティなど各方面の一流プレイヤーが登壇したこともあり、ツイッターでは最高風速でトレンドランク2位に入るほどの影響力を持った会場。

当記事では、カンファレンスの様子とともに、ビットコインをはじめとする暗号通貨が次にどこへと向かうのか、考えをメモとして残しておきたいと思います。

イベントの様子

※ ビットプレス社のツイッターから

 

HashHubカンファレンスのハッシュタグ

https://twitter.com/hashtag/hashhub2018

 

登壇で話した内容

自分のセッションはコインテレグラフさんが絶妙にまとめて頂いています(画像をクリックすると記事にジャンプします)

登壇の様子(コインテレグラフ社撮影)

ビットコインETFが市場に与える影響、BTCは5万9000ドルになる?
https://jp.cointelegraph.com/news/how-much-bitcoin-etf-affect-the-market-and-whether-btc-going-up-to-59000dollars

講演に使ったスライドはこちら

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イベントは、技術や法律・税法からセキュリティに関するトピックを主に扱う、「開発者および業界に深く関わる人」を意識したものでした。

主催者のKoji Higashiさん曰く、運営する自分達が話を聞きたいと思う人を集めたというだけあり、各分野の前線で闘う人達が集っていました。

さてこのイベントを通じ、暗号通貨が向かう先のビジョンが少し見えてきたようにも感じます。

そこで、自分なりに暗号通貨が向かっていくと感じた方向性をメモがてら書いておきたいと思います。

今のビットコインはモールス信号と同じ

ビットコインとは2013年頃から付き合っている自分ですが、ビットコインが普段の決済手段として使われるようになり、今の法定通貨を置き換える可能性は小さいと現在思っています。

もちろん、国の法定通貨が急落したり、信用が消え失せた国などでは、緊急避難先としてビットコインが買われることはあるでしょう。

ゴールドのように実物があることが、逆に収奪を招いてしまうこともあるため、プライベートキーだけ保有すれば財を無くさずに済むビットコインは緊急避難先としてこれからも選択されることになるでしょう。

それを明確に言い表した言葉がこれ。

「ビットコインは新しいお金のシステムに対するコールオプションである」

コールオプション、つまり原資産の価格が上昇した分だけ益が出て、損失は一定で限定できるポジションのことです。

ただ、それが日常で使う決済手段になるかと言えば、懐疑的です。

特に日本のように自国通貨が安定し、電子マネーも充実した国で、日常の決済手段として暗号通貨を使うメリットは、一般の人にはないからです。

自分でウォレットは管理しないといけない。
送金先は何度も確認が必要。
対法定通貨のレートは落ち着かない。

私を含め、人間の本性は「面倒を避けるために全力を尽くす」ものであり、手間をかけることは、誰もしたくないわけです。

そうした意味で、今のビットコインはモールス信号と同じだと言えるかもしれません。

人類が初めて離れた2拠点間の通信をリアルタイムで行うことを可能にした技術は、モールス信号でした。

ただ、本当に人類が欲しかったのは「リアルタイムで遠隔地同士が通信できること」であり、トンツーで生成されるコードを受信者と発信者がやりとりし、自然言語に翻訳しメッセージを伝えるという、手間のかかるモールス信号そのものではなかった訳です。

元来、私も含めて人間は楽をするための方法を探すことが本能にインプットされています。

だからこそ、楽をするため(苦労を避けるため)に全力を投じ、技術やサービスは発達してきたと言えます。

事実、その本能に従い、モールス信号を可能にしていた通信技術の上に、新しい通信手段が開発されていきます。

電話ができ、ファクス、インターネットが充実。これがあって、ツイッターやアマゾン、Google、ネットフリックスに、そしてビットコインに繋がるわけです。

周りを見回しても、モールス信号を日常使いする人は、ほとんどいないでしょう。でもメールやSNS、ネットを使わない人を探すことも、また極めて困難です。

ビットコインはブロックチェーンで動く、最も分かりやすいツールの一つでしかありません。

それよりも本当に目を向けるべきは、ブロックチェーンを通じて人類が初めて手にした能力なのかもしれません。

例えばそれは、以下のような機能です。

デジタル世界で価値の複製を防ぐ
データーが改ざんされない
中央集権を介さず運用が継続できる

上に共通しているのは、それが既存の法定通貨では到達できないものであるという点です。

 

新しい価値の交換には、新しい通貨が最適である

今回登壇された方々が、何となく近しい意見を持っていたように感じるのは、暗号通貨は既存の法定通貨が作れなかった新しい市場でこそ真価を発揮するという考え方かもしれません。

普段、私たちはお金の授受を行う時に「支払い」や「受取り」を意識しながらアクションを起こします。

ただ、それ以外にも価値の交換はあり得るわけです。

例えば、自動運転であれば個別の車同士が直接に通信を行い、道を譲るために小額のコインをやりとりして順番を決めることもあるでしょう。

例えば、SNSで価値の高い記事を書き、良質なファンを持つブロガーであれば、そこから紹介されるリンクに支払われる価値もあって良いでしょう。今だと広告でマネタイズするしか道のないところに、評価だけで収入が発生するわけです。

例えば、才能を発掘されていない人の時間に出資し、その人が社会的に成功したら高値で買い取ってもらったり、権利を行使して助けてもらうようなこともできるでしょう。

共通しているのは、「中央集権の組織を抜きにしても改ざんされず、デジタル社会で価値の複製を防ぐことができる」ブロックチェーンの技術が根元にあることです。

新しい価値の交換には、新しい通貨システムが必要になる。

そのための基盤が今の暗号通貨であるという風に捉えておけば、間違いは少ないのかもしれないですね。

 


佐々木徹 (ささきとおる)
佐々木徹 (ささきとおる)

佐々木徹(ささきとおる)・・・トレード教育者。暗号通貨・コモディティ・為替まで取引方法が学べる「ココスタ」の運営責任者であり、トレーダー、起業家、マーケティング戦略家。4,000名超の受講生をもち、「時間と収益を自分で作り出す人を増やす」をライフワークとする。「ビットコイン・ブロックチェーンスクール」では投資部門担当。英語圏向けYouTubeチャンネル「BitcoinGeekend」では購読者が2,800名を超える。株式会社ファム代表取締役。