令和の大相場から上位5位をランキングする企画の第4位はゴールド。

3年の間、破られなかった1,350ドルの壁を突き破り力強い上昇を決めた背景を振り返ってみたいと思います。

1350ドルを踏み上げたゴールド
1350ドルを踏み上げたゴールド(週足)

石の上にも3年とは我慢を続ければどうにかなるとの例え。

ゴールドも2014年の3月以降、3年以上も1,350を超えることができずにいました。

閉ざされてきた上値から「ゴールドは1,350で売り」の法則は、当たり前のように市場参加者の心理に刻み込まれていたのでは無いでしょうか。

そこに至るまでのハイライトを軽く振り返っておくと、その時の市場心理が浮かび上がります。

「ゴールドが1350以下に抑え続けられた」期間の最大イベントは、おそらくUKの離脱投票かもしれません。

UK離脱投票でも破られなかった1,350

UK離脱投票は投票直前まで残留優勢で進むも、投票当日に天候の大荒れ。

結果的に都市部の参加率が低下することで離脱派の多い郊外派へと票が流れます。

出口投票では、まさかの離脱有利と報じられます。

それを手掛かりに英ポンドは1.5の折り返しで美しいリターンを決め、雪崩を打つように崩れ1.30まで一気に下落。

これに合わせるようゴールドも高騰し1350をヒットしました。

UK離脱投票で下落したポンドに呼応して1350を打つゴールド

そう、UK離脱ほどの大型イベントでも、ゴールドの1350は破られなかったのです。

つまり、ゴールドの1350という壁を撃ち抜くためには、UK離脱を凌駕するような不安定要素が必要である。それこそ市場参加者の頭に刻み込まれていた前提条件でした。

最終的に2019年はトランプ大統領が関税問題を賑わすヘッドラインを占領。

まさか盲点と思われていたメキシコに対しても、まさかの関税対象をぶち上げたことでサプライズが走ります。

最後はこれが引き金となり、1350を踏み上げていきました。

踏み上げと書いたのは、単純に1350を機械的な売り場と見ていた参加者が、結構な量のショートポジションを残していたからです。

値段が急速に上がる時の主役は新規の買い手ではなく、売り方の買い戻しなのです。

1050から1350の300ドル範囲で閉じ込められていたものが破られたのであれば、少なくとも50%幅である150は覚悟しないといけない。

ならば1350からさほど離れていない間に買い戻した方がダメージは小さい。

売り手の頭に瞬間的によぎったのは、そうしたシナリオでしょう。

だからこそ売り手が一斉にポジションを買い戻すことで、1,350を超えてから値が跳ね上がりました。

道中には著名投資家のレイダリオ氏がゴールド買いのレターを発信し、さらに買いが加速。

さらにその頃からFEDのバランスシート拡大路線が効き始めます。

食べ始めはさほど刺激を感じないものの、後からどうしょうもなく口の中が熱くなって辛さが襲ってくる。

そんな香辛料みたいな利き方をするのも、金融政策だと言えるでしょう。

米ドルが大量に刷られる、失礼、供給をされることになれば、普通は表面的な物価が上昇します。

さらにタイミングを近しくして、大量に売り込まれていた米国債も、一気に買い戻され始めます。

すると10年以上の長期債が売り込まれたことで、一時的にイールドカーブが歪みます。

結果的にカーブ修正の過程で逆イールド(2年金利の方が10年金利より高い・・・など)が発生し、すわ不景気突入か?との報が世間を駆け巡ります。

必然、株価は売られるもアルゴ主体の市場では、人間がついていけないほどの下落速度を見せつけます。

もう底の底まで叩きつける勢いで下がります。

結果、定位安定が続きオプションのプレミアム量産装置であったはずのVIXも高騰。

日系の投資銀行が大量に販売していたVIXオプションの運用商品が、1日で90%の資産を消失させたことが話題となりました。

参考:たった1日で「9割の資産が消失」した金融商品からの教訓

これらは全てゴールドへの資金流入を加速させることとなりました。

簡単にゴールドが1350を踏み上げていった背景をまとめておきましょう。

  • 米中経済戦争からのリスク回避
  • 売り手の急速な買い戻し
  • FEDの事実上QE再開
  • 逆イールドからのVIX踏み上げ
  • 株式指数の下落を加速させるアルゴ

振り返ってみれば、ゴールドにとってはリスクも金融緩和もある「2度美味しい」市場になったのかもしれません。

それにしても当のゴールド自体は何も変わらない。変わったのは周り。

ゴールドを見ていると、世の中が結局は予測不可能な人間ドラマに巻き込まれる形で進んでいくのだなと感じます。

値を予測するのではなく、世の中が進もうとしている方向を見定める。

そんな考え方こそ、ゴールドの投資には必要とされるものかもしれません。

以上、今年のランキング4位に入賞したゴールドからとなりました。


佐々木徹 (ささきとおる)
佐々木徹 (ささきとおる)

40代からの自由な時間と収益を作るトレード教育を行っています。ビットコイン / ゴールド / 外国為替 の取引方法が学べる「ココスタ」運営(受講生4,800名)。現役トレーダー / 米CMT検定1級保有 / ビットコイン研究所ライター / 株式会社ファム代表取締役。受講に関するご質問など、気軽にお問い合わせください。

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