Technicals vs. Fundamentals
テクニカルがファンダメンタルの300倍も重要な理由
テクニカル分析はファンダメンタルの300倍も重要である、、、少々過激とも思われる主張ですが、この数値には論理的な根拠があります。それを貿易総額と通貨トレード総額とを比較して見ていくことにしましょう。
Definition
テクニカル分析とは?
まず最初に、テクニカル分析の定義を確認しておきましょう。Investomediaに掲載されている定義の一部を抜粋してみました。以下は翻訳です。
市場活動から生み出される価格推移や取引量を統計的に分析することで投資対象を評価する手法。
テクニカル分析は投資対象が持つ本来の価値を計測しよう とするものではなく、チャートや他のツールを使って将来活動を想定するパターンを特定しようとする行為である。
つまり投資する対象の中身を分析するファンダメンタルズと異なり、対象の値動きをデータと統計で判断していくということですね。
ではなぜFXにおいて、テクニカル分析は投資対象そのものを研究して分析するファンダメンタルズの300倍も重要であると言えるのでしょうか?
(原文)
A method of evaluating securities by analyzing statistics generated by market activity, such as past prices and volume. Technical analysts do not attempt to measure a security’s intrinsic value, but instead use charts and other tools to identify patterns that can suggest future activity.
Fact. 1
Trading dollar counts 310 times!
世界の通貨取引総額は貿易額の310倍
テクニカル分析に対して、投資対象が持つ本来の価値を知り、市場が評価している価格との値差で利益を出そうという試みがファンダメンタル分析です。
本質的に通貨間の強弱を決めるのは貿易する国同士の相対的な国力であり、FXの値段を本質的に動かしているのはファンダメンタルズであることは間違いありません。
ではなぜFX市場でテクニカル分析はファンダメンタルの300倍も重要だと言えるのでしょうか?そのヒントは貿易実需金額と通貨トレード規模との差にあります。
下の図は、2012年の世界主要貿易国が《1年間》に輸出入を行った総額のグラフと、FX世界市場が《1日》つまり24時間で取引した平均値を並べ比較したものです。
この資料からは、世界の貿易総額が1年間で6.2 Trillionドルであるのに対し、通貨トレードは24時間で5.3 Trillionドルであることが分かります。
単純に計算すれば、1年間の世界貿易総額と同じ規模の金額が通貨トレードでは28時間で取引されていることが分かります。
つまり、ファンダメンタルズだけ見ていたのでは、通貨世界取引総額の1/300以下の画しか見れないということになってしまうのです。
ポイント
- 全世界貿易総額は、《1年で》 744兆円
- 同通貨取引平均額は、《24時間で》 636兆円
- FX通貨取引額が貿易総額の《310倍》!
Fact. 2
Traders don't care about next year.
トレーダーは短期で利益を上げる
世界中の通貨取引で貿易額の310倍を取引する外為市場の主要プレーヤーは、欧米の機関投資家やヘッジファンド、報告義務のない大口個人トレーダーたちです。
そのトレーダーにとって国の経済など興味の対象になりません。彼らが達成しようとしている目的は、次の3つだけです。
トレーダーの求めること
- 安く買って高く売る
- 高く売って安く買い戻す
- 早く結果を出す
特に「早く結果を出す」という点に注目です。
貿易で生計を立てる企業体は、利益を出すまでに受注活動や生産・流通・マーケティング・販売・代金回収等の流れを経て動くので、1サイクルが終わるまで数ヶ月から数年が必要になります。
これに対してトレーダーは、目の前の端末ボタンを一つ押すだけで、小さな国の一年間の貿易総額を超すような取引ができてしまうのです。
つまり、最終的な利益を出すまでの期間を、場合によっては1分以下などと極めて短く設定することができるわけです。
では1分間で利益を上げるようなことを狙うとするにはどうするか?その短期的なプライスアクションを市場から掘り起こして売買するために用いられる一つの方法が、テクニカル分析なのです。
《結論》
トレーダーは短期でも長期でも使えるテクニカルを重視する
チャレンジ: どちらのチャートが短い時間足?
では短期でも長期でも使えるテクニカルが重視されると書きましたが、本当に異なる時間足のチャートに同じテクニカルを当てはめる事ができるのでしょうか?一事例として同じ銘柄の異なる時間足のチャートを左右に並べ、どちらが短い時間足なのかを推測してみましょう。
次に出した2つのチャートは、どちらもドル円から5分足と1ヶ月足を抜き出したものです。 「どちらがどちら」でしょうか?
《正解》
○ 事例1・・・月足
○ 事例2・・・5分足
ローソク1本の幅が5分間から1ヶ月に大きくなれば、ずいぶんと違う画が見えるかと思えば、ほとんど同じようなチャートになっています。
そして月足で使えるテクニカル分析は、日足でも1時間足でも、そして1分足でも使うことができるのです。
そうした点でミクロの時間でトレードをしていくにはテクニカル分析を使う以外に無いことが分かります。
Fact. 3
No matter what to trade!
どの相場でも使えるテクニカル
テクニカル分析は、株式、指標、商品、先物、もしくは需要と供給の影響力を受ける取引可能な全ての手法に当てはめることができる。。。
代表的なチャートの事例に、テクニカルで必ず使われるフィボナッチ・レベルを載せて見ていってみましょう。
(原文)
Technical analysis is applicable to stocks, indices, commodities, futures or any tradable instrument where the price is influenced by the forces of supply and demand.
ここに上げたチャートでは、全てフィボナッチレベルで値段が跳ね返っていることが見て取れます。
もちろん最初に書いた通り、値動きを引き起こす原動力はファンダメンタルズであることに変わりはありません。
一方でテクニカル分析を身につけることで、チャートが成り立つほとんどの相場でその技術が活用でき、どの時間足でも値動きの特性が分かるという武器を手に入れることができるようになります。あなたもテクニカル分析を学び、新しい武器を手に入れてみませんか?