当記事は、ビットコイン研究所さん(こちら)&クリプト通信(こちら)にて毎週配信しているレポートの一部を公開したものです。


いままでビットコインが売り込まれる前兆として機能していた要素も、4月入りしてからは出番がなくなってきました。指標が価格に影響するのが通常時なら、価格が指標をねじ曲げるのがビットコインの強いとき。

最大の要因は、ビットコインの新規採掘で得られる報酬コイン数が1/2となる「半減期」まで、残り一年となったことでしょう。この原稿を書いている時点で2024年4月21日と推定されています。

少し足下に目をやれば、3月末まで相場巧者たちが残していた売りポジションも、4月に入った瞬間どこかへ。単に3末の数字を確定させるためのリスク管理玉だったとあれば、残る選択肢は「いつ上がるか」だけに絞られた感もあります。

こんな時には思わぬ報道がビットコインの上昇を加速させるもの。当記事では、「今この記事が出たらビットコインは爆上げ」という候補を3つ挙げてみたいと思います。

もちろん、これらはすべて架空の記事を筆者の主観と独断で選んだものとなります。「実際には出てもないし現実味も不明」な記事を書いていますので、その点をご了承ください。

3位 四川省でハッシュレート急騰 ~ 中国が6月にマイニング法規制を導入

ビットコインと言えば中国。2023年暗号通貨上昇の口火を切ったのは、香港で暗号通貨の取引が個人に解禁された報道が起点でした。

だれが何を言おうとも、ビットコイン市況には中国の影響力が多大です。

BitMex創業者のArthur Hayes氏は、暗号通貨の革新的な取引システムはすべて中国で生まれ発展したと指摘しています。

Comeback, Arthur Hayes25 Oct 2022, https://blog.bitmex.com/comeback/

もともとビットコインの計算能力であるハッシュレートも中国の独壇場でした。そりゃ採掘に特化した専用機であるASICを国内で製造し、同じく国内の水力発電に配置できるとなれば最強でしかありません。

2017年頃からは、四川省が雨期に入り電気代が下がる時期にハッシュレートが上昇するのが恒例行事となりました。

そんな四川省で2020年には大洪水が発生。安い電気代を狙って地域に集まっていたマイニング機材が一斉停止しハッシュレートは激減。事実は小説より奇なりといいますが、まさにですね。

そして中国は2021年5月に国内でもマイニングを全面禁止としました。これでビットコインのハッシュレートはドン下げ。価格もドン下げ。

2週間で6万ドルから3万ドルへの半額セール開催となりました。

これらの出来事から分かるのは、、、もし中国政府がマイニングを(条件付きにしろ)許可する方向に動いたら、いきなり価格も暴騰するということでしょう。

ありえない?いえいえ分かりません。

世界中のハッシュレート統計を公開しているケンブリッジ大のデータで、中国のハッシュレートが1ヶ月でいきなり元に戻ったことがあります。https://ccaf.io/cbeci/mining_map

2021年8月には中国のハッシュレートが0 → 翌月2021年9月には大復活

正直なところ、ビットコインのマイニングが、どの地域でどれだけ行われているかは推測でしか分かりません。

だからこそ、今年の6月にハッシュレートが急騰して市場が「なんで?」となっているところに、中国のマイニング許可報道がくれば、一気に上値を突き抜けに行くでしょう。

事実は小説より奇なり・・・となると面白いですね。

2位 「アップル社がビットコインを資産保有」報道

きましたねアップル。今年の4月6日には、2017年以降のMacOSにビットコインのホワイトペーパーが埋め込まれていたことが報道されました。

Hidden Inside MacOS, the Bitcoin White Paper

https://www.coindesk.com/tech/2023/04/06/hidden-inside-macos-the-bitcoin-whitepaper/ついには創業者のスティーブジョブスが、実はSatoshiだったのではないかとの記事まで登場。

Apple hiding a bitcoin manifesto in Macs is fueling theories that Steve Jobs was Satoshi Nakamoto, the crypto’s mysterious inventor

https://markets.businessinsider.com/news/currencies/apple-bitcoin-manifesto-steve-jobs-satoshi-nakamoto-white-paper-cryptocurrency-2023-4

もちろんアップルは米国株式市場という中央集権の真ん中に位置する会社。スティーブジョブスが、所有権と信用を個人に委ねる非中央集権ビットコインに惹かれたとは想像しづらいです。

だからこそ、なかなか胸熱な展開だとも言えますね。

さて米国の上場会社で現預金の保有が大きい会社はどこでしょう?2022年の時点では以下のとおり。

  1. Apple (AAPL) $202.6 Billion
  2. Alphabet (GOOGL) $169.2 Billion
  3. Microsoft (MSFT) $132.3 Billion
  4. Amazon (AMZN) $86.2 Billion
  5. General Electric (GE) $67.9 Billion
  6. UnitedHealth Group (UNH) $67.0 Billion
  7. Meta Platforms (FB) $54.8 Billion
  8. Pfizer (PFE) $51.3 Billion

13 Firms Hoard $1 Trillion In Cash (We’re Looking At You Big Tech
https://www.investors.com/etfs-and-funds/sectors/sp500-companies-stockpile-1-trillion-cash-investors-want-it/

Apple、堂々の一位ですね。

ちなみに直近12ヶ月間の米国インフレ率は、消費者物価指数の前年比で7.7%となっています(筆者調べ)。

つまりApple社は1年間で実質、、、$200 Billion × 7.7% = $15 Billion の価値を失っていることになります。円換算すると、だいたい2兆円くらいですね。

2兆円???

Apple社の2022年売上が $394 Billion ですから、、、1年間で稼いでいる価値の半分を、米国のインフレ税で持って行かれていることになります。

ちなみに本日現在、ビットコインの時価総額は 548 Billion USD です。

ですが、仮にApple が200 Billionのドルを持ち込んでビットコインを買おうとしても、そこまで取引所には在庫がありません。

そもそもビットコインには一度も動かされていないSatoshiの保有分や、セルフGOXして事実上バーンされてしまったコインもかなりあります。

17% of Bitcoin’s Supply Hasn’t Moved for Over 7 Years
https://decrypt.co/59912/17-of-bitcoins-supply-hasnt-moved-for-over-7-years

ただでさえ発行総数のうちで買える数が限定されているのに、購入可能なコインはさらに限られます。

どこまで正確かは分かりませんが、CryptoQuant社が公開している取引所のビットコイン在庫は、直近で 783,795 BTC となっています。

https://cryptoquant.com/

これに市場価格の28,000ドルを乗じても、せいぜい22 Billion USDくらいしかありません。

ぜんぜん足りませんね。

もしAPPLE社が本気でビットコインを欲するなら、その報道のインパクトと需給のタイトさで、一気に○○倍の値上がりとなるでしょう。

といっても、買う前に報道して自ら値段をつり上げるような愚策はしないでしょうが。

取引所で買う以外の選択肢としては、APPストアでビットコインの決済を可能にして、手数料の30%をビットコインのまま受け取ることもできるでしょう。

同社は2022年、ロビー費用として10 million USD程度を支払っています。その一方で資産価値は年間15 Billion USDの速度で溶けています。

なんならロビー費用を100倍の1Billionに積み上げてでも法案を買収できるなら、溶かしている資産総額より遙かにコスパがよいことになります。

報道するときは、どうぞ上のサムネをお使いくださいませ。

最後に1位ですね。

限りなく可能性は0、ほぼ絶対あり得ないやつです。それだけにインパクトは爆弾並み。世の中に「絶対」はないことを盾にして書いてみます。


以上、ビットコイン研究所レポート Vol.203 から一部を公開してお送りいたしました。

続編は、ビットコイン研究所さん(こちら)&クリプト通信(こちら)にて配信しています。ご興味ありましたら、またそちらも覗いてみてください。

引き続き、ハッピー・ビットコイン!


TORU_COCOSTA
TORU_COCOSTA

40代からの自由な時間と収益を作るトレード教育を行っています。ビットコイン / ゴールド / 外国為替 の取引方法が学べる「ココスタ」運営(受講生4,800名)。現役トレーダー / 米CMT検定1級保有 / ビットコイン研究所ライター / 株式会社ファム代表取締役。受講に関するご質問など、気軽にお問い合わせください。

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