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ベネッセ提携で日本版をローンチし、6月3日には80億円の資金調達(→参考記事)で事業を加速させるUdemy社が日本市場で伸びるシナリオを、一講師の私なりに考えてみました。


振り返り

ベネッセ社と2015年3月に提携契約のプレスリリースをしてから、日本版ローンチまで1ヶ月半という短い準備期間の中で、米ドルで動くシステムを日本円対応させ、よくここまで作り上げたなというのが、まず正直な感想です。

フロントエンドは日本円、一方で講師側の管理画面は米ドル。コースの売上が計上される度に為替レートを計算し自動で売上レポートが作成されるシステムには感動すら覚えます。

なぜかというと、私自身が米国で駐在社員をしていたころ、経理部に1年ほどいたときの経験を思い出すからです。

その子会社はカナダの販社もかかえ連結決算を出していたので、売上を計上する度にカナダドルを米ドルに換算し売掛金計上。お金を回収したときに、その時点の為替レートで再計算をして差益と差損を出すという、今考えれば修行のような毎日を送っていました。

だから、日本円だけでなく英ポンド等の他通貨にも対応して、それを米ドル基準で変換し回してしまうシステムを涼やかに作り上げてしまう力に、驚いてしまったのです。

それはさておき、日本でもEdTech(エドテック)と呼ばれる教育✕ITの市場は注目を集めており、Udemyがどのようにプレイしていくのか、私なりに考えてみました。

※EdTech(エドテック)に関しては東洋経済(→こちら)が分かりやすく説明してくれています。

 

Udemyジャパンが伸びるシナリオは?

米国発のUdemyですが、今一番伸びているのはどこの市場なのでしょうか?

同社の方と話をする機会があったので聞いてみたところ、インドだそうです。

もともと英語リテラシーが高く、人口も多い。さらにソフトウェア会社が多く、プログラム言語等の英語コースを習得する人が急増しているといいます。

では日本市場で考えられる今後の展開はどのようなものなのでしょうか?私なりに幾つかのシナリオを考えてみました。

まず1つ目は、同社が主として目指す「個人講師が増える」シナリオです。

私のような個人講師が増えることで日本語コースが増える → 日本Udemyのマーケットプレース自体が充実していくというものですが、一番のポイントは動画でのコース作成という手間と時間を使う作業を講師が乗り越えていけるかという点にありそうです。そのあたりのサポートと、講師の成功事例が増えてくれば、トラクションが掛かってくるかもしれません。

2つ目は「英語の人気コースを字幕で販売する」方式が伸びるシナリオです。すでに幾つもそういうコースは出ているのですが、それが集客エンジンとして効いてくるかという点がポイントです。

「日本語吹き替えでないので聞くのが面倒」とネガティブに捉えられるのか、それとも「ヘッドセットがなくても学習ができる」「聴覚障害の方でも受講ができる」とポジティブな点が評価されるのかが分かれ目ですね。

最後は「企業向けの研修需要」です。実は日本で成功する可能性が一番高いのは、ここではないかと感じています。

例えば私が勤めていた商社では、必要な社員にイラストレーターやフォトショップの研修を外部スクールで学ばせていましたが、学習の方法はといえばスクールの端末にIDを入力して動画の講義を受けるというものでした。

こうした動画研修なら、スクールにいかずとも通勤時間にiphoneアプリで受講できるので社員の負担も小さく、雇用側は業務時間を割き交通費を支払い社員をスクールに行かせる必要が無くなるので、今までと同じコストで遥かに多くの社員を教育することができます。

TechCrunch記事によれば、米国ゴールドマン・サックス社ではアナリスト教育に対し、同社のオリジナルコンテンツと、Udemyコースとを組み合わせてトレーニングプログラムを作っているそうで、こうした利便性の恩恵は社員数の多い大手になるほど大きいでしょう。

もちろんブラック企業論議が全盛の日本。学習時間は就業時間なのかという議論は出るでしょう。それでも他の会社に行っても戦闘力として使えるスキルを身につけるモチベーションのある社員なら、自主的に学びを進めるでしょうし、社員別にコースの履修率が公開される仕組みにしておけば、競争原理が働いて自主的に学ぼうとする考え方も生まれるかもしれませんね。

以上、日本のEdTech業界に一石を投じる可能性があるUdemyジャパンの展望を考えてみました。

ハッピー・ラーニング!


TORU_COCOSTA
TORU_COCOSTA

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